【猫のワクチン】1年に1回は本当に必要?毎年打つべきか、世界の常識から考える

目次

「毎年のワクチン接種」が“当たり前”だと思ってた

うちの猫も毎年ワクチンを打っています。
動物病院の先生から「そろそろワクチンの時期ですね」と言われると、「はい、お願いします」と反射的に返事をして、疑問に思ったことすらありませんでした。

でも、あるときSNSでふと目にしたんです。
海外では猫のワクチン、毎年打つのはもう常識じゃないらしい」と。

え? どういうこと? うちの子、大丈夫なの?
今までずっと当たり前だと思っていたことが、実は世界から見たら”常識”ではなくなってきている情報と知ったとき、正直すごく驚きました。

もちろん、ワクチンは命を守る大事なもの。
でも、“守りたい”気持ちがあるからこそ、「最新の情報を知っておくこと」も、同じくらい大切なのかもしれません。

なぜ世界で“毎年”から“必要なときだけ”に?

猫のワクチン接種について、ここ数年で世界の考え方は大きく変わってきています。
その背景には、「ワクチンにもリスクがある」という認識が、 徐々に広まってきたことがあるようです。

🐾【知っておきたい】ワクチン接種にもリスクはある

💉 アレルギーや副反応
軽い食欲不振から、まれにアナフィラキシーのような重篤な反応まで報告されています。

💉 注射部位肉腫(FISS)
ごくまれに、ワクチンを打った部位に悪性腫瘍ができる病気。

💉 ストレスや身体的負担
通院や注射が猫にとって大きなストレスになることもあります。

あくまで発生は稀(まれ)とはなっていますが、
少なからず負担があることを考慮して、世界中の獣医師たちが「本当に必要なときに接種を」という方向に舵を切り始めているとこのこと

実は、うちの子もワクチンを打ったあと、注射をした場所にしこりができてしまい、それは今も消えていません。
獣医さんには「悪性ではないから大丈夫」と言われたものの、触れるたびに胸がざわつきます。
何気なく受けてきた予防接種にも、こうして「もしも」があるんだなと実感しました。

日本では、猫のワクチン接種といえば「年に1回」がすっかり定着しています。
実際、多くの動物病院ではそのスケジュールが“基本”として案内されているので、疑問を抱かず受けてきた方も多いですよね。

でも最近では、海外の動物医療の分野で
「本当にすべての猫にワクチンは毎年必要なのか?」
と、見直す声が少しずつ広がってきているのも事実。

とはいえ「もう毎年打たなくていい」というワケではありません
むしろ「その子の年齢や健康状態、生活環境に合わせて、必要な内容と頻度を考えよう」という方向性が、ガイドラインにも盛り込まれてきているのです。

猫ちゃんが受けるワクチンって、どんなもの?

日本では、「年に1回のワクチン接種」が一般的。多くの場合、三種混合ワクチンと呼ばれるものが使われています。

このワクチンには、特に大切とされる3つの病気を防ぐ成分が入っています。
これらは、すべての猫に必要とされる“基本のワクチン”です

🧪 三種混合ワクチン(コアワクチン)

  • FPV(猫汎白血球減少症)
     命に関わることもある、怖いウイルス。
  • FHV(猫ヘルペスウイルス)
     くしゃみ・鼻水などを起こす風邪のような病気。
  • FCV(猫カリシウイルス)
     口内炎や発熱などを引き起こす病気。

FPV(猫汎白血球減少症)
 命に関わることもある、怖いウイルス。
FHV(猫ヘルペスウイルス)
 くしゃみ・鼻水などを起こす風邪のような病気。
FCV(猫カリシウイルス)
 口内炎や発熱などを引き起こす病気。

📌 この3つは、「コアワクチン」と呼ばれ、どんな猫でも原則として接種が必要とされています。

でも、猫ちゃんの生活スタイルによっては、これ以外の追加のワクチン(ノンコアワクチン)が必要になることもあります。

🧪 ノンコアワクチン(追加で必要になることも)

FeLV(猫白血病ウイルス)
 ☑ 外に出る猫
 ☑ 多頭飼いの猫
 ☑ 感染猫と接触する可能性がある猫

猫クラミジア感染症
 ☑ 複数の猫がいる家
 ☑ 保護猫施設やブリーダー宅など
 → 集団感染を防ぐために重要です。


猫ちゃんの生活環境感染のリスクによって、「必要なワクチンの種類や回数」は変わります。

🌍 世界では今、こんな動きが広がっています

これまで「年1回」が当たり前とされてきた猫のワクチン接種。
でも今、国際的なガイドラインは「その子に合った医療」を軸に再構築されつつあります。

その方向性を後押ししているのが、世界中の獣医師たちが信頼を寄せる専門機関です。

🐾 WSAVA(世界小動物獣医師会)

180か国以上の獣医師が加盟する世界最大級の国際獣医師団体。2024年の最新ガイドラインでは以下のように明記されています。

📝 「ワクチンの効果は長期間持続するため、接種の間隔は科学的根拠に基づいて再評価されるべきである」

成猫に対するコアワクチン(FPV、FHV、FCV)は、3年以上の間隔での追加接種が推奨される。
ただし、多頭飼育や屋外飼育など感染リスクが高い場合は、年1回の接種も検討対象となる。

📎 詳細はこちら:WSAVA公式ガイドライン(PDF)

この推奨の背景には、現在のワクチンが長期にわたり免疫を維持できるという科学的根拠があります。
つまり、「毎年必ず」というスケジュールが、一部の猫にとっては“過剰”になる可能性があるという立場です。

🐾 AAFP(アメリカ猫臨床医協会)

猫専門の獣医師が中心の団体で、猫ごとのリスク評価を前提とした柔軟な対応を推奨しています。

📝 「すべての猫に同じ接種スケジュールを適用することは、理想的な医療ではない」

猫の予防接種は、年齢・生活環境・病歴など“個別のリスク”に基づいて計画されるべきである。
一律のスケジュールではなく、「その子にとって必要な医療」を提供することが重視される。

📎 詳細はこちら:AAFPワクチンガイドライン

猫の暮らし方や健康状態はそれぞれ違う——そんな現実をふまえ、AAFPは“画一的な接種からの脱却”を明確に打ち出している団体の一つです。

🐾 ABCD(欧州猫病アドバイザリーボード)

欧州を拠点に、猫に関する感染症と予防に特化した専門組織。ABCDは「必要最小限で最大の効果を」という視点から、次のように伝えています。

📝 「免疫の維持と猫の負担軽減、その両立がワクチンプログラムの本来の目的である」

コアワクチンについては、“過剰な接種”を避けるべきであり、3年に1回でも十分なケースが多い。
接種の目的は“ストレスや副反応のリスクを抑えながら、確実な免疫を維持すること”。

📎 詳細はこちら:ABCDワクチンガイドライン

ABCDの考え方は、猫にとっての身体的・心理的負担を考慮しており、“無理のない接種プラン”の構築を推奨しています。

🐱 画一的ではない、“うちの子に合った”選択を

ここまで見てきたように、
「年1回が当たり前」ではなく、「その子に合わせた接種」を推奨する声が世界的に広がっているのが現状。

📌 大切なのは「毎年打つ・打たない」ではなく、「うちの子にとって今、何が必要か?」を一緒に考えることなのだと思います。

そしてその判断は、信頼できる獣医さんと一緒に相談しながらつけていくのがベストです。
実際、日本でも年に一回のワクチンに疑問を持ってその子にあった接種を勧めてくれる獣医さんも増えてきていると言われています。

さいごに:「知ろうとすること」が、きっとうちの子の力になる

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。

この記事では、「年1回が当たり前」と思っていた猫のワクチン接種が、実は世界では見直されてきているという事実、
そしてその背景にある最新のガイドラインやリスクの考え方をご紹介しました。

その背景には、ワクチンの大切さと同時に、リスクへの理解が広まり、すべての猫に同じスケジュールではなく、その子に合った接種をという考え方が、国際的なガイドラインにも反映されてきていることがあります。

⚠️でもこの記事の目的は、「もう毎年打たなくていい」という結論を出すことではありません。

きっと一番大切なのは、愛猫にとって“今、本当に必要なケア”を考えること。

猫ちゃんの数だけ、正解は違うはずです。だからこそ、情報を知り、考え、そして獣医さんと話しながら、「この子にとって一番いい」と納得できる選択をしていけたら——それが、私たちにできる一番の愛情なのかもしれません。

このブログではこれからも、一緒に暮らす猫ちゃんたちと暮らしに役立つ情報を、わかりやすく届けて参ります。

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